よろずや(湯島)

あの店・・・。
なんのお店なんだろう・・・。
少し気になる。
湯島天神の女坂下の通り、昔の参道に当たる通りと思うけど、そこに風情のある建物がありました。
本当になんのお店かな・・・。
見に行ってみよ。
店名は『よろずや』さんか。
「味噌漬」って書いてあるけど、味噌漬けにも色々あるから。
近づいてお店の前まで行くと、
あっ!っと思う看板。
木彫りの看板で、魚の絵が彫ってあります。
この看板も結構古いものと思います。
どうやら漬け魚のお店の様です。
気になるから、買って帰ろうかな。
「ごめんください。」と、お店に入ってみる。
お店の中は、いきなり厨房な感じでした。
奥からお店の人が出て来たので、購入したい旨を伝える。
「今、御中元の時期だから、あんまり残ってないんですよ。」との事。
そうなんですか。
「切り落としはありますから。」って。
カジキが欲しかったと伝えると、
「カジキはもう終わっちゃって。」という事です。
「何がありますか?」
聞いてみると、
「銀鱈がありますよ。あと鮭が一切れあったかな。」
それでは、銀鱈と鮭をお願いします。
すると、おもむろに大きなタッパが出て来ました。
味噌漬けが入っているのかな?
と、思っていると、今度は冷蔵庫から魚の切り身が出て来ました。
魚の切り身に、ペタペタと味噌を塗ってパックに詰めていきます。
「書いておきますけど、4〜5日経って、食べて下さいね。」って説明を受けました。
こう言う意味だったのか。
表に、『注文を受けてから作ります』と書いてあったのは。
パックに入れる事を意味していたのではなく、本当に作る事でした。
買った日に食べれるわけではないのです。
しかし、これはこれで凄い。そして面白い。
じゃ、切り落としも下さい。
「切り落としも、今日漬けてますから。」との事です。

「お電話いただければ、一切れからお取り置きしますので。」
そうですね。
今度は電話する事にします。
昔は、これが魚の保存法だったし、保存すると言う事は、その保存法の食べ頃がある。
すぐに食べれないのは残念なのだが、食べ頃に合わせて美味しく頂けるまで待つというのも、これはこれで楽しいもので。
面白いお店を見つけた。
10年以上前は、近所が職場だったのに、全く気が付かなかったな。
余裕がなかったのか、こう言う事に興味が無かったのか。
どちらにしろ、こう言う事が気になる様になったというのは、年を経た証拠です。
とは言え、これはこれで素敵な事だと感じています。